第6回 敗血症性ショック
こんにちはMed-Dis(メディス)と申します。
本日はショックつながりということで敗血症性ショックについて一緒に勉強していきましょう。
ショックの鑑別は以下の記事から確認してみてください。
また、アナフィラキシーショックの記事は以下から。
勉強前の問題
- 敗血症性ショックの定義とは?
- 敗血症性ショックのとは?
- 敗血症性ショックの治療は?
- 敗血症性ショックの治療目標は?
内科でも必ず見る敗血症ですが、感染症だしゆっくり対応すればいいと考えているあなた。敗血症はただの感染症ではありません。できるだけ早く評価し抗生剤を投与しましょう。
第6回 敗血症性ショック ~抗生剤いっとけ~
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敗血症の定義
敗血症の定義が変わったのは何度も耳にしている人も多いのではないかと思います。かなり、改定によって覚えやすくなりました。まずは敗血症の定義から。
『感染に対する制御不能な宿主生体反応の調節不全による,生命を脅かす臓器障害』
簡単に言うと 『感染症+臓器障害』
簡易的な診断としてqSOFAがあります。敗血症のqSOFAは『いち、に、さん』と覚えましょう
qSOFA
収縮期血圧 100以下
呼吸数 22回/分以上
意識障害 あり(軽度も含む)意識散々3(無理やり~ 笑)
救急外来ではqSOFAで判断してよいそうです。
qSOFA 2点以上だったら敗血症疑いです。
抗菌薬投与しICUに入院したらSOFAをつけましょう。
https://www.bdj.co.jp/safety/articles/ignazzo/vol13/hkdqj200000uhuf3.html
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敗血症性ショックの定義
十分な輸液をしても以下の2 項目を満たす
1, MAP ≧ 65 mmHg の維持のために昇圧薬を要する
2, 血清乳酸値 >2mmol/L
『乳酸値(2ゅうさんし)、65 (ろくごー)と覚えましょう。』
- 検査
感染臓器を探しましょう(fever workup)
主訴、身体所見→血液検査→画像診断
血液検査、尿検査、各種培養(痰、尿、血液培養2セット)を出し、画像検査(胸部X線、CT)などを行いFocusを絞ろう。
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治療
抗菌薬投与と、血圧低下時にはノルアドレナリンの投与を行いましょう。
抗菌薬
抗菌薬の選択は迷うところですが以下の目安に使ってみるのも良いかもしれません。
呼吸器;セフトリアキソン(ロセフィン) 2g 24時間ごと
泌尿器;セフトリアキソン(ロセフィン) 2g 24時間ごと
胆道系;セフメタゾール1g 8時間ごと
重症の場合はピペラシリン/タゾバクタム(ゾシン 4.5g 8時間ごと)
下部消化管穿孔;セフォタキシム1g 8時間ごと+メトロニダゾール500mg 8時間ごと
皮膚・軟部組織;セフトリアキソン 2g 12-24時間ごと+クリンダマイシン 600 mg 8時間ごと
中枢神経;髄膜炎の場合,起因菌がわかるまでセフトリアキソン2g 12時間ごと
+バンコマイシン1g 12時間ごと+アンピシリン2g 4時間ごと
抗菌薬選択はカンニングしましょう。(レジデントノート VOL.19, No18 p3175-)
循環作動薬
ノルアドレナリンの使用方法の一例として1mg/mLを調整し、0.05γで投与
具体的には、(体重50kg時)ノルアドリナリン注[1mg/mL]2.5 mLにNSまたは5%TZを合計47.5mL加えて,合計50 mLとして,3mL/時より開始.(1mg/mlを20倍希釈し0.05γで開始)
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治療目標
2018 年に発表された,最初の1 時間で達成すべき項目をバンドル化した“Hour-1 Bundle”では
- 最初の血清乳酸値≧2 mmol/L であれば再検する
- 抗菌薬投与前に血液培養を採取する
- 広域抗菌薬を投与する
- 低血圧ないし乳酸値≧4 mmol/L であれば30 mL/kg の晶質液を急速投与する
- 初期輸液の投与中もしくは投与後においても低血圧が続いていれば,MAP≧65mmHg を保つために昇圧薬を投与する
つまり、1時間以内に平均血圧≧65 mmHg, 乳酸値の2 mmol/Lを目指せとのことである。(medicina 55巻10号 p1602-)
理解度チェック(敗血症性ショック)
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1,敗血症の定義は?
2,qSOFAの項目は?
3,敗血症性ショックの定義は?
Ans. 1感染症+臓器障害
2 意識障害、収縮期血圧100 mmHg以下、呼吸数 22回/分以上
3 十分な輸液をしても以下の2 項目を満たす
1)MAP ≧ 65 mmHg の維持のために昇圧薬を要する
2)血清乳酸値 >2mmol/L
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いかがだったでしょうか。次回は意識障害の勉強をしたいと考えています。