第4回 ショック ~あなたはショック恐れず立ち向かえるか~
こんにちはMed-Dis(メディス)と申します。前回までは胸痛について勉強しました。
本日は救急外来で見るショックについて一緒に勉強していきましょう。
勉強前の問題
- ショックの定義とは?収縮期血圧120mmHgはショックでない?
- ショックの分類4つに分けて
- 分類するためにどうする?
救急の先生にとってはお得意のショックですが、救急以外の先生にとっては苦手にしている先生方も多いかと存じます。ショックを見ると苦手意識を持ってしまいます。病棟業務では自分の患者がショックになっている様をみて逃げたくなるかたもいらっしゃるかと思います。そこで第四回は、“ショック”について取り上げてみようかと考えています。
第4回 ショック ~あなたはショック恐れず立ち向かえるか~
① ショックの定義と初期対応
分類に入る前にショックとはどういう状態でしょうか?血圧が低いのがショックでしょうか。ショックとは『全身の組織潅流が低下し、組織への酸素供給が障害されている状態』です。もともと高血圧の人は収縮期血圧が120mmHgでもショックになりえるのです。ショックを見たら必ずABCから安定させてね。
② ショックの分類
ショックの分類は学生のころから何度もやっているかもしれませんが、実際に分類を見ると4つに分かれたり、5つに分かれたり、、、。意味不明ですね。じゃあどうすんのって感じですね。分類をするにはできるだけ簡単なものが使用しやすいでしょう。4つに分かれている以下のものがおすすめです。
1,心原性
2,心外閉塞・拘束性
3,循環血漿量減少性
4,血液分布異常性
四つに分かれて少ないし、いいですね。それでも覚えるのが辛いです。簡単にすると1、2は心臓が働けない。3、4は血管内に血液がないと覚えましょう。1はそもそも心臓ダメ。2は心臓の動きを阻むもの。3は血液すくない。4は血液が血管外に逃げちゃったって感じ。『内科レジデントの鉄則』では頚静脈怒脹、肺鬱血、抹消冷感で分けられると書いています。確かにこの方法である程度の鑑別ができるのでしょうが、やはりエコーを駆使して鑑別するのが楽だと思います。
③ エコー検査
心臓か、その周りか、血管内の量の問題か順番に見ていきましょう。
まず、心臓の動きから。心臓の働きが良ければ心原性は否定的。その周りの心嚢液の貯留、D-shapeなどの所見がなければ心外閉塞・拘束性は否定的。血管内はIVCを確認し虚脱(7-9mm)、または吸気時50%以上の虚脱あれば循環血漿量減少性ショックか血液分布異常性だ。
順番に 心臓の動き→心臓の周り(タンポナーデなど)→IVC で鑑別だ~。
④ 治療
心原性はそれぞれの疾患の治療が必要となるし必ず循環器の先生にコンサルトしよう。心外閉塞・拘束性は緊張性気胸、心タンポナーデ、肺血栓塞栓症が含まれる。各々の治療が必要となる。循環血漿量減少性と血液分布異常性ではガンガン補液しよう。つまりIVC確認して張っていれば補液控えて検査進める。虚脱していればガンガン補液して検査進めるといったところでしょうか。
- 治療反応性が悪い場合
ショックは補液でだめなら昇圧剤を用いよう。ノルアドレナリン0.05γから始めるのも良いでしょう。
γ計算知らないよう、わからないようという方は以下のページで勉強してみてください。
いかがだったでしょうか。ショックは症候学であり患者さんの状態を見ているものに過ぎません。ショックを見れば補液をするか、鑑別を進め原疾患の治療をするしかありません。ショックで分類する意義は鑑別を進めるための一つの手法です。そして、ショックの場合、例えばアナフィラキシーショックであればその治療を、敗血性ショックであれば抗菌薬やノルアドレナリンをといった、それぞれの治療をする必要があり、ショックを見たからといって全く同じ治療をすれば良いという短絡的な発想ではないということがわかります。
理解度チェック(ショック)
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1,ショックの定義は?
2,ショックの分類は?
Ans. 1全身の組織潅流が低下し、組織への酸素供給が障害されている状態
2 心原性, 心外閉塞・拘束性, 循環血漿量減少性, 血液分布異常性
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いかがだったでしょうか。
まとめ ・ショックの定義は全身の組織潅流が低下し、組織への酸素供給が障害されている状態 ・ショックは1,心原性、2,心外閉塞・拘束性、3,循環血漿量減少性、4,血液分布異常性に分類 ・ショック時にはエコーを確認 ・IVCが虚脱していれば補液、してなければ原因検索 ・γ計算は自在にできるように |
次回はアナフィラキシーショックの勉強をしたいと考えています。