第5回 アナフィラキシーショック ~あなたは目の前の患者を救えるか~
こんにちはMed-Dis(メディス)と申します。
本日はショックつながりということでアナフィラキシーショックについて一緒に勉強していきましょう。
参考までに、ショックについての記事は以下から。
勉強前の問題
- アナフィラキシーショックの定義とは?
- アナフィラキシーの重症度分類とは?
- アナフィラキシーのABCDとは?
- アナフィラキシーの治療は?
内科でも必ず見るアナフィラキシーショックですが、いざというときにさっと対応できるか否かによって患者さんの予後も変わってきます。また、さっと対応できると周りのスタッフの見る目も変わってくると思います。一緒に勉強していきましょう。
第5回 アナフィラキシーショック ~あなたは目の前の患者を救えるか~
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アナフィラキシーショックの定義
アナフィラキシーの定義は『アレルゲン等の侵入により,複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され,生命に危機を与えうる過敏反応』です。アナフィラキシーショックはアナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合である。(耳喉頭頸 91 巻5 号(2019 年増刊号)p21-)
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アナフィラキシーの重症度分類
アナフィラキシーの重症度は以下のURLに記載されている。グレード2以上の症状が複数ある場合はアナフィラキシーと判断する。
https://anaphylaxis-guideline.jp/pdf/anaphylaxis_guideline.PDF のp12に重症度分類が記載されている。
しかし実際に重症度分類で重症度判定するよりは、Dr林のABCDで治療を開始したほうが良いように感じます。皮膚症状プラスABCDを見たら迷わずアドレナリン。アドレナリンは誤って投与した場合よりも、投与できなかった場合がダメです。
A Airway 喉頭浮腫
B Breathing 喘鳴
C Circulation ショック
D Diarrhea 嘔気、下痢、腹痛などの消化器症状
アドレナリン投与して無効の場合は、グルカゴン1-2mgを投与しましょう。グルカゴンだけの投与はダメ!
グルカゴン自体に血管拡張作用があるためだそうです(参考;救急外来ただいま診断中より)
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治療
治療はもちろん①アドレナリン投与ですね。アドレナリンを0.3-0.5mg筋注(大腿外側)に投与し、5-10分ごとに再評価して、症状が持続している場合には再度投与。②輸液も行います。最初の5-10分で生理食塩水を1本(500mL)抗ヒスタミンはアレルギー疾患の予防、コントロール、症状緩和目的や軽症のアナフィラキシーで皮膚症状を認める場合に使用する。③二次性のアナフィラキシーショックの発生に備えて入院は必須。④ステロイド べタメタゾン:リンデロン 20mg/5mL 1回2-8mg(点滴静注) 、⑤抗ヒスタミン剤 H1 and H2 blocker (クロルフェニラミンマレイン酸塩:ポララミン1A, ファモチジン: ガスター1A)
妊婦の場合
アナフィラキシー発症時には体位変換をきっかけに急変することがある(empty vena cava)。そのためアナフィラキシーショックを疑った場合は体位変換による増悪を防ぐために、仰臥位のまま下肢挙上に加え、子宮左方偏位を行うことが妥当と考えられる。
治療は”FRESH”と覚えましょう。
F:fluids(輸液負荷) まず,細胞外液を 1〜2L 投与 R:remove offending agents アナフィラキシー誘因を除去 E:epinephrine(アドレナリン) ボスミン® : 0.3〜0.5 mg,筋注,必要 に応じて 5〜15 分ごとに再投与 S:steroids(ステロイド) ヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ®) : 100 mg,8 時間ごと H:histamine blocker(抗ヒスタミン薬) [H1 拮抗薬]クロルフェニラミン(ポラ ラミン®) : 5 mg,静注 [H2 拮抗薬]ファモチジン(ガスター®) : 20 mg,静注
理解度チェック(アナフィラキシーショック)
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1,アナフィラキシーの定義は?
2,アナフィラキシーのABCDは?
3,グルカゴンは単独で投与可能?
Ans.
1アレルゲン等の侵入により,複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され,生命に危機を与えうる過敏反応
2 A Airway、B Breathing、C Circulation、D Diarrhea
3 ダメ。詳しくは本文参照
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いかがだったでしょうか。次回は敗血性ショックの勉強をしたいと考えています。