第48回 ICU入室患者のアセスメント ~自分の評価に足りないものは~
こんにちはMed-Dis(メディス)と申します。ワルファリンの使用方法について一緒に勉強しました。
本日はICU入室患者のアセスメントについて一緒に勉強していきましょう。
勉強前の問題
① クリティカルケアでのルーチン“6”
② クリティカルケアでの一般原則
③ クリティカルケアのアセスメントはパーツに分けて行う
ICUの管理について、いつもどのようにアセスメントを行っているでしょうか。これまでの実際の評価が本当に良かったのかを振り返るためにも、ほかの先生がどのように評価しているか教科書的に勉強したいと思っています。こうすることで自分の評価に足りないものを見出すことができますし、またもしかしたらほかの先生よりも満足のいく評価ができているかもしれません。しっかりと勉強してみましょう。
第48回 ICU入室患者のアセスメント ~自分の評価に足りないものは~
本文内容は主にICU/CCUの薬の考え方、使い方(大野博司著)』を参考に記載しています。ICU/CCUで使用する薬について基礎から実際の使用方法まで細かく書かれています。すごくわかりやすいのでもし、興味があれば手に取ってみてください。
① クリティカルケアでのルーチン“6”
ICU/CCUセッティングでは、外科・内科を問わずルーチンで行うことがあります。ルーチン3と人工呼吸器管理、発熱、早期栄養摂取を考慮して行う3つを加えて、クリティカルケアでのルーチン6をまずは確認しましょう
クリティカルケアでのルーチン6
1, ストレス潰瘍予防
2, 深部静脈血栓(DVT)予防
3, 病院関連肺炎(HAP)・人工呼吸器関連肺炎(VAP)予防
4, 人工呼吸器ウィーニングプロトコール
5, 発熱評価:“Fever work-up”
6, 早期栄養開始プロトコール(経静脈、経腸、経口)
② クリティカルケアでの一般原則
クリティカルケアでの一般原則
-入室時の病名・治療内容の確認、入室後の合併症の確認
-その日の目標とアクションプランを立てる(どうしたらICU/CCU退室可能か?の視点で)
-現在の投薬内容(静注、内腹すべて)、適切な投与量(腎障害、肝障害時)であるかの確認
-現在挿入されているルート類(末梢ルート、尿カテーテルなど)を全てチェックする
-現在の安静度、褥瘡の有無をチェックする
-患者、家族との毎日のコミュニケーション
アセスメントおよびプランを立てる場合にはゴールはどこにあるのかを意識し、何日後にICUの退院を目指すのかを考えて立てるようにします。
③ クリティカルケアのアセスメントはパーツに分けて行う
クリティカルケアを考えるに当たり各臓器・パーツごとに、①診察・身体所見、②ラボデータなど、③その他(その臓器ならではのチェックポイント)の3つに分けるとよいとのことです。
・肺・呼吸器でのアセスメント
【診察・身体所見】
喘息やラ音、自発呼吸、気道分泌物吸引の頻度、気管支拡張薬が必要かどうかの評価
【ラボデータなど】
SpO2、動脈血液ガス分析、胸部X線、挿管チューブの深さ、胸腔ドレーンの位置確認
呼吸器設定、サポートレベル、ピーク・プラトー圧、auto-PEEPのチェック
【その他のチェックポイント】
ARDS患者での1回換気量を低くした人工呼吸器管理
意識清明でありFiO2<0.5、PEEP<5の場合、ウィーニングチャレンジ
長期呼吸管理が必要な患者で気管切開が必要かどうかの評価
ギャッジアップ30~45°以上でのVAP予防
・心臓・循環器でのアセスメント
【診察・身体所見】
心拍数、血圧、不整脈の有無、四肢の暖かさ、中心静脈圧(CVP)、末梢の浮腫、循環動態の把握(尿量、乳酸値など)
【ラボデータなど】
前負荷(CVP、PCWP)、後負荷(MAP、SVRI)、心拍出量、虚血の評価と調整
【その他のチェックポイント】
血管収縮薬、強心薬、抗不整脈薬の整理
・腎・電解質でのアセスメント
【診察・身体所見】
体重変化、IN-OUTバランス、不感蒸泄
【ラボデータなど】
BUN/Cre、電解質の評価
【その他のチェックポイント】
腎排泄型の薬剤の調整
急性血液浄化法必要時の腎臓内科コンサルト
造影剤腎症予防のためのNアセチルシステインおよび生食負荷、重炭酸ナトリウム負荷
・血液・感染症(創部含む)でのアセスメント
【診察・身体所見】
体温、出血部位の確認
【ラボデータなど】
血算と分画、出血時間・凝固能の確認
培養結果と感受性
【その他のチェックポイント】
採血を最小限にする、輸血の必要性の評価
ビタミンK欠乏の確認
患者診察の前後での手洗いの励行
ライン刺入部およびその周囲と挿入日時の確認、抜去可能かどうかの評価
手術創部・ドレーンからの排液量・色調
投与している抗菌薬の種類・投与量・投与間隔、耐性菌の可能性の把握
・消化管・栄養でのアセスメント
【診察・身体所見】
腸蠕動音、腹部膨満、下痢、便秘の評価
【ラボデータなど】
なし
【その他のチェックポイント】
栄養サポート:経口、経腸、経静脈-投与経路、投与速度、栄養剤組成
人工呼吸管理及び出血経口のある患者でのストレス潰瘍予防
腸管蠕動薬および制吐薬の使用
・内分泌・代謝でのアセスメント
【診察・身体所見】
なし
【ラボデータなど】
なし
【その他のチェックポイント】
敗血症性ショックでの相対的副腎不全のチェック
・神経系でのアセスメント
【診察・身体所見】
神経脱落症状、意識レベル、鎮静深度、痙攣のチェック
不穏状態・せん妄悪状態の把握
昼夜逆転、睡眠時間のチェック
【ラボデータなど】
頭蓋内圧チェック
せん妄悪化につながる呼吸・循環動態、電解質異常、薬物血中濃度(測定可能なら)など
【その他のチェックポイント】
鎮痛、鎮静の維持・テーパリングの把握
一日一度は鎮静を止めて意識レベルの評価を行う
心肺停止直後なら低体温療法を考慮する
いかがだったでしょうか。私はもっと細かいとこまで評価しています。とか、もっと効率化するために絞って評価しています。といったことがあればコメントください。たくさんコメントいただければ、フィードバックしたいと思います。
次回は『CHDF(第一章 CHD)』について勉強をしたいと考えています。