第16回 妊婦さんとくすり
こんにちはMed-Dis(メディス)と申します。前回は女性特有の疾患ということで勉強しました。
本日は女性特有の疾患について一緒に勉強していきましょう。今回の記事に関しては『女性の救急外来ただいま診断中!(井上、柴田編)』をもとに記載しています。滅茶苦茶読みやすく勉強になる本なので精読あれ。
勉強前の問題
① 妊娠中によく使用する薬とは?
解熱薬/鎮痛薬、鎮咳薬、風邪(上気道炎)、抗インフルエンザ薬、鼻炎の薬、抗菌薬、、喘息薬、便秘薬、胃痛・悪心の薬
② 妊娠中にワクチンは打っていい?
救急で若い女性が来院して、妊娠可能年齢なら妊娠の有無を確認する。しかし、明らかに軽症そうだったら、妊娠の有無を聞かず対症療法でもいいかな、、、なんて考えた場合の処方はどうしよう。万が一妊娠していたら、胎児に問題があったら、、、何を処方するのが無難でしょうか?
第16回 妊婦さんとくすり ~産婦人科の先生。助けて~
① 妊娠中によく使用する薬
解熱薬/鎮痛薬
アセトアミノフェンが第一選択。ただし、短期間・頓用を心がける。
鎮咳薬
デキストロメトルファン頓用や、麦門冬湯を用いる。
風邪(上気道炎)
葛根湯は短期間。もしくは桂枝湯は妊娠中にも安全に使用できる。
抗インフルエンザ薬
オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)、ラミナビル(イナビル)
は使用可能。
鼻炎の薬
アレルギーの場合は、血中への移行料が少ない点鼻薬、吸入薬を使用する。
点鼻薬[ケチトフェンフマル酸塩(ザジテン)]
吸入薬[クロモグリク酸ナトリウム(インタール)]
抗ヒスタミン薬 クロルフェニラミンマレイン酸塩(ポララミン)は長く比較的安全
に投与できる
小青竜湯は短期間の使用に留める
抗菌薬
アレルギーがある場合にはクリンダマイシンやエリスロマイシンが使用できる。
喘息薬
SABA サルブタモール(サルタノール、ベネトリン)
プレドニン点滴
吸入ステロイド(パルミコートなど)やテオフィリン
便秘薬
酸化マグネシウム(マグミット)
大腸刺激性下剤は支給を刺激することもあるため、アントラキノン系のセンノシド
は原則禁忌
重症便秘の場合はジフェニルメタン系のピコスルファート(ラキソベロン)を使用
する。
胃痛・悪心の薬
妊娠悪阻にはメトクロプラミド(プリンペラン)が使用できる。
その他
ガイドライン http://www.jsog.or.jp/uploads/files/medical/about/gl_sanka_2017.pdf
おくすり110番 http://www.okusuri110.com/kinki/ninpukin/ninpukin_02-04.html
成育医療研究センター https://www.ncchd.go.jp/kusuri/news_med/index.html
②妊娠と薬のピットフォール
ポピドンヨード製剤 児の一過性甲状腺機能低下症を引き起こす
湿布薬 NSIDsの経皮吸収があり、安全性が担保されていない
③妊娠中のワクチン
生ワクチン:妊娠中は原則禁忌
上記は禁忌!!
破傷風ワクチンと抗Dグロブリン投与は可能です。もし破傷風感染が疑われた場合は
治療してください。
理解度チェック(妊娠とくすり)
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1,妊娠中に使える解熱鎮痛薬は?
2,妊娠中に使える鎮咳薬は?
3,妊娠中に使える抗菌薬は?
4,妊娠中に使える喘息薬は?
5,妊娠中に使える便秘薬は?
Ans. 1アセトアミノフェン
2 デキストロメトルファン頓用や、麦門冬湯
3 セフェム系・ペニシリン系, クリンダマイシンやエリスロマイシン
4 SABA サルブタモール(サルタノール、ベネトリン), プレドニン点滴,
吸入ステロイド(パルミコートなど)やテオフィリン
5 酸化マグネシウム(マグミット)
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いかがだったでしょうか。次回は産科的エマージェンシーの勉強をしたいと考えています。