第8回 けいれんの救急対応 ~とりあえずジアゼパム半筒~ 

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こんにちはMed-Dis(メディス)と申します。

前回は意識障害の救急対応について勉強しました。 

med-dis.hatenablog.com

本日はけいれんについて一緒に勉強していきましょう。

勉強前の問題

救急でよく見るけいれんの患者。『先生、患者がけいれんしています』と声をかけられてびっくりする先生も多いかと思います。どうしよう、、、とりあえずジアゼパム!どれだけ行けばいいんだっけ、、、なんてことも。

けいれん&てんかんについて一緒に学んでいきましょう。

 

第8回 けいれんの救急対応 ~とりあえずジアゼパム半筒~ 

① けいれんとてんかん

けいれんを見て『てんかんだっ』と言う先生もいらっしゃるかと思います。ただ、けいれんは症候であり、てんかんは診断名です。初発のけいれんはてんかんとは言わないので気をつけましょう。

   けいれんを見た場合は原因検索をします。第七回の意識障害の鑑別を用いて検索します。意識障害の鑑別といえばAIUEO TIPsですね。

  その他原因として大脳皮質の病変も鑑別に入れましょう。けいれんを起こす大脳皮質の病変として、脳梗塞脳炎アルツハイマー代謝性、ヘルペス脳炎があげられます。

 

② 問診

必ず、既往歴は聞く。けいれんの発症様式や前駆症状で失神と鑑別する。

 既往があればけいれんの原因は、内服忘れ、睡眠、疲労感染症を確認

症治療後は症状がなければ帰宅可能。意識障害、Todd麻痺なら入院して経過観察。CT、MRIを追加しましょう。かかりつけ医の受診も促してください。

 

③ けいれん初期対応

 5分以上持続 or 反復の場合は重積発作と言われます。

  Early               ;チアミン+糖 投与

                            ジアゼパム 5-10mg iv 0.5A 呼吸抑制に注意

                           もしくは、ミダゾラム i.m. 0.5A

   ↓

   Established     :ホストイン 22.5 mg/kg i.v.

                              もしくはミダゾラム 0.1-0.3 mg/kg ivh

   ↓

   Refractory       :ミダゾラム 0.05-0.4 mg/kg/hr 挿管+鎮静

 帰宅時にはレベチラセタム(イーケプラ) 内服へ

 *ただし、内服移行はてんかんのときのみ。初回は内服はだめ

 必ず以下のガイドラインも確認しましょう。

  https://www.neurology-jp.org/guidelinem/epgl/sinkei_epgl_2010_09.pdf

 

④ 分類

 特発性 65 %、症候性 35%

 1)焦点発作:以前は部分発作と言われました。意識障害は認めません。

 2)全般発作:意識障害あり。広範囲の脳の異常発火。

 3)焦点から全般発作へ:焦点発作が起こった後、それが全般化する場合。

 全般発作では必ず以下の順番に起こる

  『強直→間代→発作後』

 イメージはグーッと固くなり、ガタガタしてから、ぼーっとするのが一連の流れ。

 発作の動画は以下のHPで載っています。参考にしてくださいね。

  https://www.tenkan.info/commentary_movie/

 つまり、ガタガタした後にグーッとなったなどの場合は、うそのてんかんです。見破りましょう。

 

⑤ てんかんの診断・検査

病歴の聴取・診察

 最近はビデオで撮影している患者さんもいます。撮影していないか聞いてみましょう。

・検査

1,血液ガス

 けいれんの患者さんでは乳酸PaCO2の上昇が見られる場合がある。

2,心電図

 心原性による失神を鑑別にあげて心電図を取るようにしましょう。

3,頭部CT/MRI

 高齢者では脳卒中後の症候性てんかん脳梗塞後など)が鑑別に上がる。必ず否定しましょう。

4,採血

 血液ガスとともに原因検索として電解質や血糖値などのデータを確認。

 抗けいれん薬を内服している患者ではその濃度も確認する。

5,脳波

 脳波はてんかん発作後でも異常波が出ますので疑ったら必ず取りましょう。

 ただ、てんかん患者の50%は正常脳波であり、1回の脳波検査でてんかん波を捉えることは難しい。

 

⑥ 心因性てんかん

 体感の動き(+)、眼を閉じている、症状が変動する、発作後の錯乱なしといった場合には心因性を疑いましょう。

 

⑦ 治療

 初回はてんかんの治療はしない。

治療したときにデメリットとして

 1,治療を始めるとその後治療薬をやめにくくなる

 2,運転免許は発作後2年はダメ

  初回発作は6ヶ月は運転をやめる

 

 ただし、脳梗塞、脳波が異常であれば初発であっても治療開始

 全般発作では、バルプロ酸デパケン):相互作用に気をつける(ワーファリンとの相互作用)

 部分発作では、イーケプラ、カルバマゼピンテグレトール

 

理解度チェック(けいれんとてんかん

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 1,てんかんとけいれんの違いは?

 2,問診の項目は?

 3,けいれんに対するジアゼパムの量は?

 

 Ans. 1けいれんは症候、てんかんは疾患

   2 抗てんかん薬の内服歴

   3 まずは1/2A

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いかがだったでしょうか。次回は脳梗塞脳出血の勉強をしたいと考えています。