第56回 酸素療法② ~とりあえず、酸素療法は卒業します!~

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こんにちはMed-Dis(メディス)と申します。酸素療法①について一緒に勉強しました。

med-dis.hatenablog.com

 本日は酸素療法②について一緒に勉強していきましょう。

 勉強前の問題

 ① ネブライザー付酸素吸入装置

 ② ベンチュリマスク

 ③ ネーザルハイフロー(ハイフロセラピー)

 ④ 酸素療法の選択

救急外来で呼吸困難を訴える患者さんは多いかと思います。ただ、なんとなく酸素療法をとして酸素マスクなどの使用していないでしょうか。今回は皆さんが当たり前のように使っている酸素療法について勉強してみましょう。実際に勉強することでなんとなくから、自信を持って行う酸素療法に意識を変革しましょう。

 

56回 酸素療法② ~とりあえず、酸素療法は卒業します!~

 

本文内容は主に『こういうことだったのか!! 酸素療法 小尾口邦彦 著』を参考に記載しています。日常臨床で使われる酸素療法についてわかりやすく解説されています。すごくわかりやすいのでもし、興味があれば手に取ってみてください。

こういうことだったのか!! 酸素療法

こういうことだったのか!! 酸素療法

 

① ネブライザー付酸素吸入装置

 ベンチュリ式マスクのよくある誤解として次を挙げています。「ベンチュリ式マスク酸素流量は10L/分、100%に設定したので患者は100%酸素を吸っている」ということ。ベンチュリマスクから流れる酸素流量は10L/分=166mL/秒ということになります。一回換気が1秒吸気で呼気が2秒の20回換気ですと全然足らないということになります。つまり、30L/分でないと100%酸素を吸えないということになります。

インスピロンにおいて90%酸素はないです。インスピロンはリザーバー付マスクにおいて矢印がうたれるのは35・40・50・70・100です。実際70%以上高く設定することはできず、70%以上の高い部分に設定すると開口部位は全く異なり、100%の酸素が流れると考えておきましょう。

インスピロンの説明 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/3669

ポイント

 トータル流量早見表を用いて酸素濃度・酸素流量を決める

 設定濃度で酸素するためにトータル流量は30 L/分以上に設定する

 患者の呼吸状態変化にかかわらず一定の濃度で酸素投与したいときに用いる

 酸素濃度の上限は60%(50%の製品もある)であり、高濃度酸素投与はできない

 酸素流量計は恒圧式・高圧式を用いる

 

② ベンチュリマスク

 ネブライザー付酸素吸入装置と同じ原理です、かつて、よく使用されましたが、酸素濃度を調節するアダプタの空気取込孔の大きさが可変式のものがあり24~50%などという数字が刻印されていることから、それに合わせるだけで例えば50%の酸素を吸入すると信じる医療者が多かったのではと著者は邪推しています。

 実際は早見表を参照してどの量の酸素が投与されているか確認しましょう。

 トータル流量早見表 p20

  https://www.kango-roo.com/sn/k/view/3669

 

③ ネーザルハイフロー(ハイフロセラピー)

 ネーザルハイフローの最高流量は通常60L/分であり、酸素濃度は21~100%の間で設定することができます。ネーザルハイフローの強みは鼻腔という気道の一部に酸素を押し込む強みがあります。強みのとして4つ著書には記されています。1つ目が、鼻腔に入れた30L/分を超す高流量のエアを押し込むことで、吸気の仕事が軽減されます。2つ目は、ネーザルはフローが鼻腔の解剖学的死腔を洗い出し、50mLも減らしてくれるということです。3つ目は、軽いPEEPが期待できるということ。ただし、これは閉口時に限定的であり非常に軽度のものであるとのこと。4つ目が、分泌クリアランスの改善外期待できるとのこと。ただし、明確なエビデンスはないです。つまり実際に強調されることは、呼吸仕事量の軽減と解剖学的死腔の洗い流しができるということ。

ポイント

 呼吸仕事量の軽減、解剖学的死腔の洗い流しが主な効果である

 流量は30L/分から開始することを原則とするが、20L/分からをすすめる製品もある。

 解剖学的死腔の洗い流しを目指すなら流量アップまたは小内径プロングを選択する

 人工呼吸器様加温加湿器を併用する

 効果が認められない時は速やかに人工呼吸に切り替えることが大切である

 

④ 酸素療法の選択

 酸素療法の選択においては、要素が3つあります。

 1,患者吸入酸素濃度

 2,低流量システムか高流量システムか

 3,投与酸素・エアに加湿を必要とするのか

 1~3をすべて満たすのはネーザルハイフローのみです。ただし、コストは他の酸素療法に比較して格段に大きいので賢く選択しましょう。

 

実際に著書『こういうことだったのか!! 酸素療法 小尾口邦彦 著』には沢山の図が載っており、今回載せた説明以外にもいろいろな内容が例を交えてわかりやすく説明されています。もしよろしければ手にとってみてください。2時間位で読めるのではないかと思います(理解しようとするともう少し時間かかるかもしれませんが)

こういうことだったのか!! 酸素療法

こういうことだったのか!! 酸素療法

 

 次回は『浮腫』の勉強を行います。