第114回 動悸 ~どのような鑑別診断をあげますか?~
こんにちはMed-Dis(メディス)と申します。動悸について一緒に勉強しました。
本日は、急性下痢ついて一緒に勉強していきましょう。
勉強前の問題
① 動悸のフレームワーク
② 不整脈
③ 洞性頻脈
・Tablet(薬剤性)
・Anemia(貧血、脱水)
・Infection/ Inflammation(感染症、炎症)
・Endocrine(内分泌・代謝)
④ 心因性
本日は臨床推論の勉強をしたいということで、臨床推論の本をもとに勉強を進めていきたいと考えています。実臨床ではどのように臨床推論を進めていけばいいのか、snap diagnosisだけでなくいろんな鑑別診断を上げながら、診断をしていけるように勉強していきましょう。
第114回 動悸 ~どのような鑑別診断をあげますか?~
本文内容は主に『総合内科 ただいま診断中! 森川暢著』を参考に記載しています。この本は系統的に問診から鑑別診断を絞っていく方法が書かれており、わかりやすいです。臨床能力をあげたいと考える先生は是非読んでみてください。
① 動悸のフレームワーク
特に既往歴のない若年男性の頻度が増悪傾向で30分間持続する突然発症の動悸。
・不整脈
・洞性頻脈 (TACHIE タキッ)
Anemia
CHest
Infection/ Inflammation
Endocrine
・心因性
② 不整脈
・Time course 発作性、動悸が5分以上持続、60歳以上、小児期より持続する
・Onset 突然終了する
・Situation
発症状況:睡眠中、ベットで寝ている時、休日、週末、仕事中カフェイン摂取、アルコール摂取
停止状況:いきんだとき、深呼吸
・Severe めまい/ 前失神/ 失神を伴えば重症
・随伴症状 胸痛、呼吸困難、頸部の拍動を感じる、発作時の尿意、心疾患既往
・その他 Heart rate perception testで不整脈を示唆するような異常な脈拍、Heart rate perception test中に動悸なし。
③ 洞性頻脈
・Tablet(薬剤性)
薬剤開始後、もしくは薬剤中刺後の動悸は薬剤性を考えます。カフェイン、テオフィリン、抗コリン薬、SSRIの内服歴があれば薬剤性の動悸を考えます。アルコール、ベンゾジアゼピンの突然の中止では離脱による動悸を考えます。
また、薬剤性の動悸は正確には以下の3つに分類されます。
交感神経系亢進(カフェイン、テオフィリン、アルコールやベンゾジアゼピンなどの離脱、コカイン、危険ドラック)、抗コリン作用(抗ヒスタミン薬、アトロピン、3環系抗うつ薬)、セロトニン症候群です。これらを鑑別するためには以下の6つについて調べます。バイタルサイン、瞳孔、精神症状、発汗、膀胱/腸管、不随意運動です。いずれの病態もバイタルサインとして高体温、頻脈、高血圧を認めます。また、瞳孔も散瞳傾向です。ただ、興奮が目立つのは、交感神経亢進、セロトニン症候群であり、抗コリン作用ではせん妄、不穏が目立ちます。交感神経亢進と抗コリン作用では発汗は認めず、口渇も目立ちます。
・Anemia(貧血、脱水)
貧血は起立性低血圧のフレームに準じて考えます。起立時の動悸の病歴が極めて重要であり、脱水や出血を示唆する随伴症状を聴取しましょう。労作時の動悸は慢性経過の貧血を疑うきっかけとなります。労作時の動悸では貧血以外に、心・肺の問題を考えるべきです。胸痛、呼吸困難、咳嗽、喀痰の有無を確認すべきです。起座呼吸や発作性夜間呼吸困難、浮腫、体重増加などの心不全を示唆する所見を絞って聴取すべきです。疑えば胸部診察に加えて、心電図、胸部X線はルーチンに確認すべきです。胸痛、呼吸困難に加えて月があるにもかかわらず胸部単純X線や胸部単純CTが正常であれば、肺塞栓を疑います。胸痛があれば胸痛のフレームを使って考えましょう。
・Infection/ Inflammation(感染症、炎症)
発熱に加えて動悸を認める場合は、感染症や炎症性疾患のフレームワークを考えます。発熱・悪寒・寝汗の3点セットを確認します。CRPと血沈が正常であれば、同フレームワークの可能性が下がります。頭から足までのReview of systemと身体所見で原因検索を行うべきです。
・Endocrine(内分泌・代謝)
動悸に加えて、暑がり、活動性の亢進、体重減少、手指の振戦、発汗、下痢を認める場合は甲状腺機能亢進症を考えます。甲状腺腫大を認める場合はバセドウ病を、甲状腺に圧痛を認める場合は亜急性甲状腺炎を考えます。褐色細胞腫では、普段は全く症状がないにもかかわらずに突然、頭痛、動悸、発汗を認め、さらに同時に高血圧、暑がり、パニック様の発作を認めます。動悸に加え発汗、悪心、頭痛、空腹感を認める場合は低血糖を考えます。血糖降下薬だけでなく、ダンピング症候群やインスリノーマも原因になり得ます。ダンピング症候群は食後に発作を認めます。インスリノーマは発作性の精神症状で発症することもあり、てんかん発作と鑑別を要します。安静時に発汗、頭痛、暑がりを伴う動悸を認める場合は、内分泌・代謝疾患を疑うきっかけとなります。
④ 心因性
症状と心電図のギャップは心因性を疑うきっかけになります。不安は心因性を疑う期脚気になりますが、不安があれば心因性というわけではないです。心因性動悸の前提は、除外診断です。脈が速いわけではなく、ただ単に寝ていると心臓の音が聞こえるという訴えは心因性らしいです。Heart rate perception testでは実際に再現してもらい、脈拍が正常範囲内であるにも関わらず動悸を訴えれば心因性らしいです。ただし、心因性の判断は慎重に行う必要があります。
いかがでしたか。次回は『慢性下痢症』の勉強を行います。