第102回 夜間頻尿、体重増加 ~どのような鑑別診断をあげますか?~

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こんにちはMed-Dis(メディス)と申します。風邪と訴え受診について一緒に勉強しました。

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本日は、夜間頻尿、体重増加ついて一緒に勉強していきましょう。

勉強前の問題

① 多尿・頻尿

② 夜間頻尿の予防医学的観点

③ 体重増加

④ ベイズの定理と診断に関するEBM

 

本日はから臨床推論の勉強をしたいということで、臨床推論の本をもとに勉強を進めていきたいと考えています。実臨床ではどのように臨床推論を進めていけばいいのか、snap diagnosisだけでなくいろんな鑑別診断を上げながら、診断をしていけるように勉強していきましょう。

 

102回 夜間頻尿、体重増加 ~どのような鑑別診断をあげますか?~

 

本文内容は主に『イナダも学べばブリになる 林寛之、大西弘高編』を参考に記載しています。この本は研修医向けに書かれた本ですが、臨床推論をこれから勉強したいという先生にも非常に良い本だと思います。もし、興味があれば一読してみてください。

イナダ(研修医)も学べばブリ(指導医)になる: 現場のプロと臨床推論のプロが教える診断能力アップ術
 

① 多尿・頻尿

 夜間頻尿とは夜間排尿のために1回以上起きなければならないという訴えです。本人または介護者の値用の希望が必要で、QOLの障害になっていない場合、医療上問題はありません。鑑別診断は多岐にわたり蓄尿障害がある場合は泌尿器科的対応が必要になります。睡眠時無呼吸症候群により夜間頻尿、多尿になる場合があります。夜間頻尿の対応にはまず、排尿日誌を付けてもらうことから始めましょう

 

② 夜間頻尿の予防医学的観点

 夜間頻尿は、予防医学という観点から考えると高齢者の夜間頻用は転倒のリスクがつきまといます。トイレまでに段差はないかなどについても配慮をする必要があります。また、高齢者総合的機能評価(CGA)などによって包括的に評価することで隠れた認知症日常生活動作(ADL)低下などが判明することも多く、家族への注意喚起が必要な場合もあります。また、睡眠不足により、日中の睡魔が交通事故の原因になるなどのリスクも考慮しましょう。

 

③ 体重増加

 体重増加の原因は多岐にわたります。数日単位で増加する体重変化は体液過剰によることが多く、緊急処置が必要になります。重大な疾患を見逃さないように、問診・身体診察・検査を進め鑑別を行いましょう。

 問診では年齢や性別、発症様式(急性/慢性)、食事・運動などの生活変化、随伴症状(全身倦怠感、発熱、貧血・黄疸、浮腫、胸痛・呼吸困難、腹部膨満、排便・排尿異常、抑うつ気分)のほか、既往歴や腹薬歴、家族歴、そして妊娠可能な女性には最終月経と妊娠の可能性も確認します、月経周期(月経前症候群)・妊娠、老化(代謝低下による)など、病的でない体重増加もあります。

 身体診察では、バイタルサインの異常、起座呼吸・頚静脈怒脹、腹部膨満、下腿浮腫、中心性肥満や皮膚伸展線状、甲状腺腫大などの有無を確認します。

 検査は、血液検査(血算、生化学、TSH、HbA1c)、尿検査、心電図や胸部X線に加え、必要に応じて内分泌疾患(甲状腺機能、副腎・下垂体系ホルモンなど)の検査を行います。

 一般的には単純性肥満が圧倒的に多く、内分泌疾患などの症候性肥満は稀です。BMI 25~30を過体重、BMI>30を肥満と定義します。肥満度が高くなるにつれ糖尿病、脂質異常症、高血圧、冠動脈疾患、悪性腫瘍などのリスクは上昇し、若年~中年層においては、肥満度は死亡率の上昇とも関連します。

 減量により、糖尿病・脂質異常症・糖尿病のコントロール改善や、心血管系疾患の発症予防といった効果が得られることが示されています。体重管理では、食事・運動・生活習慣の改善がその主体となり、医師のみならず、他職種と連携することや原料後も数年間にわたってフォローを継続することが成功率を上げるとされます。

 食事療法に関してカロリー制限食(個人ごとに体重・活動度に応じて設定)、脂肪制限食、高タンパク食は有効性が示されています。超低カロリー食、炭水化物制限食、液体栄養食などは今後さらなる検討が必要となります。

 

④ ベイズの定理と診断に関するEBM

 検査前確率、検査前オッズは有病率に大きく左右され、よくある疾患は検査前確率が高くなります。尤度比の値にもよりますが、検査前確率が高いと、ある程度検査後確立も高くでるため、よくある疾患は正しい診断の確率が高いという面があります。しかし、この検査前に引きずられて、緊急度・重症度の高い疾患を見逃すと患者に対する影響は大きく、ときに後遺症が残ったり死につながることすらあります。

 

いかがでしたか。次回は『頭痛』の勉強を行います。