第64回 マイナートラブル ~こんな時どう対処しましょう~
こんにちはMed-Dis(メディス)と申します。下痢について一緒に勉強しました。
med-dis.hatenablog.com本日も症候学で、マイナーエマージェンシーについて一緒に勉強していきましょう。
勉強前の問題
① しゃっくり
② 釣り針の誤針
今日は救急外来でも珍しい、「しゃっくり」と「釣り針の誤針」という2つのマイナーエマージェンシーについて勉強してみましょう。このような主訴で訪れることはほとんど見ませんが、救急外来で来られた場合は少し困ってしまいますね。一緒に勉強してみましょう。
第64回 マイナートラブル ~こんな時どう対処しましょう~
本文内容は主に『Dr. 林の当直裏御法度 ER問題解決の極上 Tips90』を参考に記載しています。もちろんみなさんもご存じの方がほとんどと思いますDr. 林の名著ですね。研修医の先生はぜひ手にとってみてください。
Dr.林の当直裏御法度―ER問題解決の極上Tips90 第2版
- 作者: 林寛之
- 出版社/メーカー: 三輪書店
- 発売日: 2018/11/12
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① しゃっくり
しゃっくりは咽頭を刺激すれば止まることがあります。ここは経鼻胃管(NGチューブ)を用いてしゃっくりを止めてみましょう。太めのNGチューブで鼻から胃まで挿入します。その後胃内容を吸引して、胃を空っぽにして、次の瞬間一気にNGチューブを引き抜きます。
薬としてはクロルプロマジンやプリンペランがありますが、ちょっといまいちだそうです。柿蒂湯(シテイトウ)がよく効くらしいのでこれを飲んでもらえばよいのですがなければ、カキのへた(蒂)を10個分水300mLで半分になるまで煎じて飲めばよいそうです。
柿蒂湯 https://www.kotaro.co.jp/product/detail/g174.html
しゃっくりは2日間以上続けば死んでしまうと信じていた時代がありましたが、しゃっくりが48時間以上続けば、持続性吃逆(慢性吃逆)といい、1か月を超えれば難治性吃逆というそうです。アメリカでは68年間もしゃっくりが続いたという人がいるそうです。
しゃっくりは横隔膜のミオクローヌスで、脳(主に延髄)から横隔膜までの間の神経に対して何らかの刺激が起こればしゃっくりが起きます。脳梗塞や横隔膜下膿瘍、胸部大動脈瘤などが原因に考えられます。
② 釣り針の誤針
釣り針は古典的には釣り針を回して皮膚を貫通させ、皮膚に出てきた針先をペンチで切って、逆行性に引き抜く方法ですが、これだと麻酔をして健常皮膚を貫通させなければなりません。
これを逆行性に引っこ抜く方法であるStrig-yank method があります。
1、釣り針をまずギリギリのところまで引いておきます
2、釣り針のカーブのところに糸(タコ糸や# 3-0絹糸など)を縛り付けます。釣り針を抜いた時に張りが飛んで行ってしまわないように手前も結んで輪っかを作って指をかけておくと安全です。
3、釣り針のお尻が持ち上がらないように針の根元をしっかりと指2本つまんで押さえておきます。
4、針を押さえ込んだまま、皮膚に平行な方向に一気に糸を引いて、釣り針を引っこ抜きます。
1・2・3と言いつつ2で引っこ抜くとよいそうです。
Youtube :
How To Remove A Fishhook From Your Finger : String Yank Technique
https://www.youtube.com/watch?v=bi1hc48uCR4
いかがでしたか?マイナートラブルではありますが、確かにどう対応したらよいか困るような症例でしたね。
次回は『コンサルトのTips』の勉強を行います。